むしのはなし

今日パートのおばさんから衝撃的な話を聞いた。なんと朝、新刊の荷物の箱を開けたら、中からゴキブリ（以下、G）が出てきたのだという。

｢本にくっついていたのか、床にコロンと落ちてね、だから死んでるのかと思ったらちょっとしたら動き出して！それでもう朝から大騒ぎだったのよ～｣

｢でも虫が平気な〇〇さん（別のパートのおばちゃん）がね、触覚を手で持ってそれを紙に包んで握りつぶして殺してくれたのよ～～｣

私は笑いをこらえるのに必死だったが、そのあまりの恐ろしさに戦慄し、軽く眩暈をおぼえた。
ちょっとこれから荷物開けるのが怖くなりそうだ。こんなことは滅多にないとは思うが。

そのGを殺した勇敢なおばちゃん曰く、Gは声を掛けると止まり、また目が合ったときも止まるらしい。目が合っている時は決して動かないので、そこで仕留めれば楽に駆除できるという。このおばちゃんはムシと話でもできるのだろうか。またGも、ちょっとやそっとじゃ死なないあの生命力から察すれば、人語くらい分かっても不思議ではないのかもしれない。


さらに話を聞くと、売場でもGの目撃情報があったという。私自身は見たことがないけれど、ずっと昔、売場をカサコソ歩いてるのをパートさんが見たとかなんとか。多分外から入ったんだろうけど、神聖な本屋に、G・・・あるまじき。あるまじきである。さらに眩暈がした。万が一、本を食べられたらどうするんだろう・・・いやそれ以前の問題なのだが、ヤツラはなんでも食べるからなあ。Gとヤギだけはお断りである。


Gはなぜあれほどに忌み嫌われているのだろう。私は虫全般が苦手なので、Gだろうが何だろうが嫌なことに変わりはないが・・・

と、ここでちょっとGについて調べてみる。
ちなみに私の働く本屋には、昆虫のコーナーに｢ゴキブリ大全｣という超マニアックな本が置いてある。さすがにそれを開ける勇気はないので、広辞苑で調べることにする。

ゴキブリ【漢字が難しくて出てこなかったので、ヤフーで検索をかけたらなんと画像が出てきて悲鳴をあげました。ヒィイ・・・】

以下、広辞苑より

（御器（ごき）噛（かぶ）りの転）
体は甚だしく扁平で幅が広く楕円形。（中略）油に浸ったような光沢がある。家住性のものは人間や荷物などの移動に伴って広く伝播し、台所などで食品を害するほか、伝染病を媒介する。

季節は夏とあるが1年中いるじゃねーか。
「甚だしく扁平」のあたりにちょっと悪意を感じるけど、改めてみるとやっぱり害虫だったんだな。それならば仕方ない。

しかしそれではあんまりなので、ちょっと親しみを込めるためにカフカよろしく、Gの呼称を「ザムザ君」とするのはどうか。
（といいつつもあの小説を読む限り、グレゴールはGではなさそうだが、読んだ人に聞くと、大体の人が「Gみたいなのを想像した」というから驚きだ。結局あれはムカデに近い感じなのだっけ・・・？